あるアメリカ留学生の徒然なる日々

アメリカ・カリフォルニア在住の日本人大学生が色々さらけ出すブログ

友人に出しそびれた手紙の公開2

お嬢様って、何?

私たちが高校を卒業してもう四年も経つのね。私は幼稚園の時からずっとあの学園に通っていて、高校を卒業して10日も経たないうちにアメリカに来てしまったので私の日本の思い出というと、あの学園での生活しかないのよね。そのせいで、私の思う「常識」は、私たち学園内の常識なのか、それとも女の人としての一般常識なのか、それとも日本の一般常識なのかがよくわからなくなることが時としてあるのよね。

 

私は今まで、日本の友達に出身高校をいうと少なくない数の人が、「あら、じゃあお嬢様なのね」と言ってくださってきたけれど、私はそんなこと、いままで一度も感じたことはなかったの。家族で外食に行くのはいつもサイゼリアだし、旅行もそんなにする方ではないし。母は話す時の語尾は「ザマス」ではないし、お家に召使いもいない。でも、最近になってやっと彼らが言っていた意味がわかった気がするの。

 

まず、私は自分が本当に恵まれていることに気がついたわ。あまりお金のお話はしたくないの。なんだか憚られるから。父母は、それこそアクセサリーや高いブランド物のバッグなんて持ち合わせていなかったけれど、それは私たち子供のためだったのだと私はやっと気付いたの。まぁ母曰く彼女は本当に装飾品に興味がないだけのようだけれど。

その代わり彼らは「教育がいちばんの贅沢だ」と言って私と姉妹を幼稚園から高校まで私立に通わせ、妹には学費も全く安くない私立の大学に通うことを許し、私にはもっとお金がかかるであろう大学正規留学をさせてくれた。私が小さい時から英語の塾に通わせてくれたし、書道も姉妹全員に嗜ませてくれた。妹が中学でオーケストラ部に所属を希望した時は、楽器のためのお金や、部活動外でその楽器を練習できるお稽古場にも通わせてくれた。歯列矯正もさせてくれたし、今でも私が在米中に出かける際は、「多少お金がかかってもいいから。安全がお金で買うことができるならそうしなさい」と、ウーバーという配車システムの利用は頻繁に許してくれる。

 

 

井の中の蛙は世間知らず。感謝もしない?

アメリカに学生ビザで滞在している私たち留学生は、州外の学費が適用されて通常の生徒よりも数倍高い学費を収める必要がある上に、原則は校外でのアルバイトは禁止されているの。それでも多くの生徒は学費やお小遣いを賄うために、強制送還とアメリカへの出入国が十年間制限されるリスクを承知の上で違法でアルバイトをする。でも母は私には決してアルバイトを許さない。これはいうのは簡単だけど、それを実際に禁止しても授業料を納めてくれる家族は多くはいないと思うの。そういう面も含めて彼らは私を「お嬢様」と呼んでいたのね。つまり、必ずしもいい意味ではなく、「世間知らずで苦労知らずのあまちゃん」という意味を含んでいたということは最近になってやっと気付いたの。

 

なんだかここまで書いて、つい先日巷で話題になった「田舎者と貧乏人を初めて見た話」の著者さんと似ても近い状況ね。つまり私は、井の中の蛙だったの